Étudesculturelles
「言葉」というのは掴めるようで掴めなく、でも身近に存在する欠かせないもので、人が人である所以の一つでもあります。未だ不確かな部分がるとはいえ、歴史言語学的に俯瞰すると「言語」というものが、特に再帰性をもって生まれたのはホモサピエンスが生まれたとされる10万〜15万年前、つまり猿と人間が分かれた頃と言われています。ゆえにこの言語というものは人が人であるという定義の1つとも言えなくはないと考える次第です。とはいえ、人間の言語はこの「再規性」を持つがゆえにどの瞬間においても絶えず変化し、意味を固定するのは不可能というのが持論です。またここから、たとえ同じ単語であっても意味は変わり得るために、あえて歴史学に絡めるのであれば、どのような資料でも書き手の思想、意志を完全に排除することはできず、歴史学に携わるということは文書からこれらをどう漂白するか、また残していくかを絶えず問い続けることだと考えています。この考えから、歴史学を学ぶ人間こそ、言語も同時に学ぶべきと考える次第です。
フランス語文学文化専攻 3年 H氏
主な関心分野
近現代中央アジア地域の教育史、言語学(語用論)、ジェンダー史、南北アメリカ文明、台湾原住民の文化および歴史、宋・元・明・清の風俗、米国原子力時代文化、ITテクノロジーと伝統の複合 etc.
※アナール学派的に、歴史学以外の分野から歴史にアプローチを試みる
おすすめの授業
・平川眞規子先生「英語学概説」
・木下光弘先生「外国史」
・田口卓臣先生「フランス文学史」
・朝日祥之「社会言語学概論」
※開講されていないものを含む
おすすめの本・映画など
・アンリ・トロワイヤ、工藤庸子訳『女帝エカテリーナ』中央公論社、1980年
啓蒙君主の代表でもある女帝エカチェリーナの半生を描いたもの。ロシア帝国に興味があるのであれば是非入門に読んでもらいたい一冊。ロシア帝室のあり様が見えてくる。
・冲方丁『月と日の后』PHP研究所、2021年
中宮彰子の目線から平安を描いた一冊。史実では必ずしもないが、人の交差に酔いつつ、比較的悪女の如く描かれがちな彰子の別の面を見出せる。
・ヴィクトリア・エイヴヤード、田内志文訳『レッド・クイーン』ハーパーコリンズ・ ジャパン、2017年
異世界ファンタジーの新定番。赤か銀か、血の色が全ての世界においてそれを超えた存在が暴れまくる。歴史は全く関係ないが、むしろ人の心はどうあるのかを考えさせる一冊。