とっても史学研らしい記事

はじめに

 初めまして。このブログの更新を任されました佐々木信綱です。割とこのブログは日本史以外のこともいっぱい書いてるみたいなんですが、新入生でやる気に満ち溢れているので真面目に歴史について語りたいと思います。
 さて、この前の記事で旧開智学校に行ったことを報告しました。実は自分もそれに参加していたのですが、なんとびっくり‼実際に使っていたであろう戦前戦中の教科書を実際に手で触って読むことができたのです。ここで「読みに行きたいけど、松本まで行くの大変だな~。読んでみたいけどやめとくか」と思ったそこのあなた!あきらめるのは早いです。実は国立教育政策研究所が明治以降の教科書のデジタルアーカイブを公開しているのです。

いざ読んでみると…

 そこで戦中の教科書を読んでみると…うーん。なるほど。たしかにそういった書き方もできなくはないし、出来事の説明も間違ってるわけではないけどなんとも形容しがたい奇妙な違和感を覚えずにはいられません。皇歴を使っているというのが違和感の原因の一つでもあるのですが、何よりも清貧や学問を修めることを折に触れて是としている書き方が一番の原因でしょう。戦国時代の英傑たちは武皆勇に優れていて江戸時代の政治家は皆貧しい身から学問をもって名を挙げたという描かれ方をしています。極めつけは「民の生活が華やかになれば国の力は落ちる」という一文です。風紀を何よりも重んじ、派手な生活を悪とする史観がにじみ出ています。日本史では必ずやる人形浄瑠璃や歌舞伎といった文化については触れられず、民の生活を乱すものとして扱われています。ここだけ書くとなんてひどいと思われるかもしれませんが、今でも通じるところが多数ありました。例えば、浪費を批判するような思想です。大塩平八郎の乱とかは「一部の豪商だけが得をし、多くの民が苦しんでいたから立ち上がった。悪いのは豪商である」そのまんま今と同じではないでしょうか。田沼意次を無駄遣いをした悪い奴で松平定信は善であるといった書きぶりも今と似ているでしょう。

終わりに

 単に過去の教育を批判するのではなく、こうして現在の教育にも繋がる見方を見出したりすることができるのも歴史の醍醐味でしょう。もしよろしければ皆さんも戦前の教科書をご覧になって見てください。